様々な周波数帯をカバーできる汎用アンテナ
短波(SW)、中波(MW)、アマチュア無線のHF/VHF/UHF帯域を一度にカバーできる汎用アンテナは存在しますが、各帯域が非常に広いため、完璧な単一アンテナはほとんどありません。代わりに、マルチバンドアンテナやチューナーを利用した広帯域アンテナを使用すれば、大多数の帯域を受信することができます。
1. 汎用アンテナの種類
(1) ロングワイヤーアンテナ
最もシンプルな広帯域アンテナの一つです。
最低でも20~50m以上の長いワイヤーを設置すれば、短波(SW)やアマチュア無線(HF)帯域をほぼカバーできます。
1/2波長でなくても強制的にチューニングして使用することが可能です。
チューナー(Antenna Tuner)と一緒に使うことで、MW、HF(500kHz~30MHz)を広範囲にカバーできます。
ただし、VHF/UHF帯域には効果的ではありません。
✅ 適した場合: 短波(SW)放送の受信、アマチュア無線HF通信
(2) ダイポール(Dipole)アンテナ
特定の周波数の1/2波長で作成されますが、複数を並列に設置することでマルチバンドとして使用可能です。
ファンダイポール(Fan Dipole)アンテナ:複数のダイポールを重ねて設置することで、さまざまな周波数をカバーします。
Zs6BKWアンテナ:チューナーを使うと80m~10m帯域までカバー可能(3.5MHz~30MHz)。
ダイポールを垂直に設置すれば、VHF/UHF帯域も一部受信可能です。
✅ 適した場合: アマチュア無線HF帯域(80m~10mバンド)、チューナー使用時のSW放送受信
(3) エンドフェッドハーフウェーブ (EFHW) アンテナ
短波(HF)で広範囲に使用されているアンテナです。
一般的に40m、20m、10mバンドを含む設計が多いです。
誘導コア(誘導素子)とマッチングトランスを使用することで、他の周波数もチューナーなしで動作可能です。
欠点として、低い周波数(中波MW)や高い周波数(VHF/UHF)の帯域はカバーしにくいです。
✅ 適した場合: アマチュア無線HF帯域(3.5MHz~30MHz)、SW放送
(4) ランダムワイヤー(Random Wire)アンテナ + 自動チューナー(ATU)
長さ10~25m程度のワイヤーを使用し、チューナーでさまざまな周波数に調整する方法です。
チューナーを使うことで、MW(中波)、SW(短波)、アマチュア無線HFの大部分をカバー可能です。
欠点は、チューナーが必要であり、VHF/UHFの受信には適していません。
✅ 適した場合: 広帯域SW受信、アマチュア無線HF送信
(5) コブウェブ(Cobweb)アンテナ
ダイポールアンテナを円形に配置することで、20m~10mバンドをカバーする方法です。
サイズが小さく、屋内設置も可能なのでアパートなどでも便利です。
チューナーを使うことで、SW放送の受信も可能です。
VHF/UHF帯域はカバーしません。
✅ 適した場合: アマチュア無線HF(14MHz~30MHz)、SW放送
(6) ループ(Loop)アンテナ
広帯域受信用として非常に効果的です。
アクティブループ(Active Loop)アンテナは、中波(MW)、短波(SW)、アマチュア無線HF帯域(1~30MHz)をカバーできます。
代表的な製品: Wellbrook ALA1530、MFJ-1788、YouLoopなど。
VHF/UHFには使用しにくいです。
✅ 適した場合: SW放送受信、アマチュア無線HF、MW放送
(7) ディスコーン(Discone)アンテナ (広帯域VHF/UHF)
VHF/UHFを広帯域でカバーする代表的なアンテナです。
30MHz~3GHzまで受信可能で、FMラジオ、航空無線(118MHz~136MHz)、海上無線、アマチュア無線(2m、70cmバンド)など、さまざまな用途に使用されます。
ただし、短波(SW)および中波(MW)の受信には不向きです。
✅ 適した場合: VHF/UHF(30MHz以上)受信
2. 単一の汎用アンテナで全ての帯域をカバーできるか?
完璧な単一アンテナはありませんが、次の2つの組み合わせを使用すればほぼ全ての帯域をカバーすることができます。
- ランダムワイヤーアンテナ(チューナー付き) + アクティブループアンテナ → SW/MW/HF受信
- ディスコーン(Discone)アンテナ → VHF/UHF受信
この2つのアンテナを組み合わせることで、500kHz~3GHzまでのほとんどの周波数をカバーできます。
✅ 最適な汎用アンテナ組み合わせ:
- MW/SW/HF: ランダムワイヤーアンテナ + チューナー、アクティブループアンテナ
- VHF/UHF: ディスコーン(Discone)アンテナ
3. 最適なアンテナ長は?
アンテナ長を決定する最も一般的な方法は、1/2波長または1/4波長を基準に設定することです。
しかし、マルチバンドをカバーするためには次の長さを参考にするのが良いでしょう。
(1) SW/HF用の最適な長さ
- ランダムワイヤーアンテナ: 20m~50m(チューナー使用時)
- ダイポールアンテナ: 20mバンド(10m)、40mバンド(20m)
(2) VHF/UHF用の最適な長さ
- ディスコーンアンテナ: 約1m~2m
✅ 最小の設置スペースで可能な汎用アンテナ組み合わせ
- SW/HF: 20~25m ランダムワイヤー + チューナー
- VHF/UHF: 1~2m ディスコーンアンテナ
4. 結論: 汎用アンテナのおすすめ
全ての帯域をカバーできる単一アンテナはありませんが、次の組み合わせならほとんどの周波数を受信できます。
SW/MW/HF(500kHz~30MHz)受信用
- ランダムワイヤーアンテナ(20m~50m) + チューナー
- アクティブループアンテナ(ALA1530、MFJ-1788など)
VHF/UHF(30MHz~3GHz)受信用
- ディスコーン(Discone)アンテナ
✅ 屋内で手軽に使用したい場合は?
- YouLoop(アクティブループアンテナ) + SDR(ソフトウェア定義ラジオ)
- ディスコーンアンテナ(VHF/UHF用)
これでMWからUHFまで、ほとんどの無線を受信することが可能です!
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