CRTモニターをカメラで撮影したときにちらつきが発生するのは、CRTの走査方式と**カメラのフレームレート(FPS)**が同期していないためです。
1. CRTの動作原理
CRT(ブラウン管)モニターはインターレース方式またはプログレッシブ方式で画面を表示します。
- **電子銃(Electron Gun)が上から下へ高速で走査(スキャン)**し、画面を1本ずつ描画します。
- 一度に全画面が表示されるわけではなく、フレームごとに数十〜数百回繰り返されます。
- 60HzのCRTは、1秒間に60回画面を再描画するリフレッシュレート(Refresh Rate)を持ちます。
👉 人間の目ではこのちらつきを感知できませんが、カメラはフレーム単位で画面をキャプチャするため、CRTのちらつきが見えてしまいます。
2. カメラとCRTのリフレッシュレートの不一致
カメラのフレームレートは24fps、30fps、60fpsなど固定されています。
CRTのリフレッシュレートは60Hz、75Hz、85Hzなど様々です。
例:
- 60HzのCRTモニターを30fpsのカメラで撮影した場合、
- CRTは1秒間に60回ちらつきます。
- カメラは1秒間に30回キャプチャします。
- 結果として、CRTのちらつきの一部しかカメラに記録されず、見逃される部分が発生します。
この過程で、**画面の一部が明るく、一部が暗く見える現象(水平ちらつき)**が起こります。
3. ちらつきの原理
カメラがCRTの走査中の一部だけを記録するため、
- 画面の上部は明るく、
- 中間や下部は暗く表示されます。
この現象は**ローリングシャッター効果(Rolling Shutter Effect)**に似ています。
4. ちらつきを解消する方法
① シャッタースピードの調整
カメラのシャッタースピードをCRTのリフレッシュレートに合わせると、ちらつきを最小限に抑えることができます。
- 例:
- 60HzのCRT → シャッタースピードを1/60秒に設定
- 75HzのCRT → シャッタースピードを1/75秒に設定
② フレームレートの調整
カメラのフレームレートをCRTと同期させます。
- 例:
- 60HzのCRT → 60fpsで撮影
③ ラズベリーパイカメラなどの同期装置を使用
一部の高級機材には、ディスプレイのリフレッシュレートに自動的に同期する機能が備わっています。
5. なぜLCD/LEDではちらつかないのか?
LCD/LEDは画面を即座に更新する方式で、画面全体が同時にアップデートされます。
そのため、画面がちらつくことなく一定に保たれます。
👉 CRTは順次画面を描画する方式ですが、LCD/LEDは画面全体を一度に更新するという違いがちらつきの有無を生む原因です。
6. まとめ
- CRTモニターは逐次走査方式のため、カメラと同期していないとちらつきが発生します。
- CRTのリフレッシュレートとカメラのフレームレートの不一致が主な原因です。
- カメラのシャッタースピードやフレームレートを調整することで、ちらつきを軽減することができます。
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