1. SATA電源供給能力
SATA電源コネクターは15ピンで構成され、**3種類の電圧(3.3V、5V、12V)**を供給します。
1ピンあたり最大1.5Aを提供できるため、次のような電力供給が可能です。
電圧 | ピン数 | 最大電流 | 最大電力(理論値) |
---|---|---|---|
3.3V | 3ピン | 1.5A | 14.85W |
5V | 3ピン | 1.5A | 22.5W |
12V | 3ピン | 1.5A | 54W |
合計 | 理論上最大91.35W供給可能(ただし実際の使用では約54W程度に制限される) |
HDDは主に5Vおよび12Vを使用します。
3.3Vピンは一部のPWDIS機能を備えたドライブで電源を切るために使用されますが、一般的なHDDではほとんど使用されません。
2. HDD消費電力(32TB HDDの場合)
**大容量HDD(例:20TB~32TB)**はプレートが多く、モーター駆動およびヘッド移動にかなりの電力を必要とします。
- 一般的なデスクトップHDD:6~10W(動作中)
- 高性能データセンターHDD(10TB~20TBクラス):10~15W
- 最新の32TB HDD(WD Ultrastar DC HC670):
- 約12~14W(動作中)、5~7W(アイドル状態)
- 起動時およびスピンアップ時:20~25Wまで一時的に消費されることがあります。
- データ読み書き中:約12~14W
- アイドル状態:5~7W
3. 電力節約機能
最新のハードディスクは、IntelliPower(可変RPM)やPower Disable(PWDIS)などの電力管理機能を使用して、必要ないときには電力を最小化します。
一部のHDDは、Partial/Slumber状態に入ることで、消費電力を1W未満にまで低減することもあります。
大容量HDDの電力管理のヒント
電源供給の安定性:
32TB HDDのような大容量モデルは、スピンアップ時に瞬時に大きな電力を消費するため、**高出力のパワーサプライ(PSU)**を使用することが推奨されます。
サーバー用HDDを複数同時に使用する場合、SATA電源Yケーブルの代わりに、PSUから直接複数のSATAラインを接続することが望ましいです。マルチドライブ構成:
RAIDやJBOD構成の場合、複数のドライブが同時にスピンアップしないように、**スピンアップ遅延設定(Spin-up Delay)**を適用することが電力管理には有利です。
結論
SATA電源コネクターは、最大54W(12V基準)を供給でき、一般的にHDDは10~15Wの電力を消費します。
32TB HDDは約12~14Wを消費するため、SATA電源1本で十分です。
しかし、スピンアップ時に20W以上を瞬時に消費することがあるため、PSUの容量が十分か確認することが重要です。
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