ラジオ送信塔の近くで草やソーセージを持っていくと、煙が出て燃えながら、同時にラジオの音が聞こえる現象は本当に起こるのでしょうか? 実際に、この現象は可能であり、その原理は次のように説明できます。 1. なぜ煙が出て燃えるのか?(高出力RFの熱効果) ラジオ送信塔(特にAM/SW送信塔)は、数百kW(500kW以上)の強力な電波を発信しており、これは単なる電気信号ではなく、空間を通じて放射される電磁波です。 この高出力の電磁波(EM波)が物体に触れると、その物体は電磁波を吸収し、誘導電流が発生します。もし物体が電気的に導電性がある(例:金属)か、弱い誘電体(例:水、生体組織)であれば、この誘導電流が内部で熱を発生させます。温度が上昇すると、最終的に煙とともに物体が燃え始めます。 特に水分を多く含んだ草や生肉、ソーセージなどは、電波をよく吸収し、内部で熱を発生させるため、簡単に加熱されます。 これは電子レンジと似た原理です。電子レンジは2.45GHzの周波数を使用して水分子を振動させ、摩擦熱を発生させて加熱します。高出力RF送信塔では、この原理がさらに強力に作用します。つまり、草やソーセージをラジオ送信塔の近くで持っていくと、RFエネルギーがその内部で熱に変換されて燃えるのです。 2. なぜラジオの音が聞こえるのか?(非接触検波効果) ラジオの音が聞こえる理由は「非接触検波(Detection)」効果によるものです。 **検波(デモジュレーション)**とは、AMラジオ信号を音声信号に変換する過程です。 高出力のAM送信塔から発射された強力なRF信号は、周囲の金属物体や半導体特性を持つ物体(例:錆びた鉄網、金属パイプ、さらには人間の皮膚)と相互作用し、異常な検波を引き起こすことがあります。 どのようにして音が聞こえるのか? 高出力のAM電波が物体に当たると、その物体で誘導電流(High RF Induced Current)が発生します。この物体が半導体特性を持つか、何らかの非線形(Non-Linear)特性を持つと、AM信号の変調成分(音声部分)が復調されます。その時、その物体がスピーカーのように作用して音を発したり、空気の振動を引き起こしてラジオの音が聞こえることがあります。 📌 実際の事例: 錆びた鉄網や建物の鉄骨構造で、AMラジオ放送が検波されて音...