なぜまだ1080p放送が主流なのか？4K放送の普及が遅れている理由

 テレビ放送で4Kが普及していない理由は、複数の要因が複雑に絡み合っています。

1. コンテンツ消費の方法の変化
   YouTube、Netflix、Amazon Prime Videoなどのストリーミングサービスの成長により、
   人々は**VOD（オンデマンドビデオ）**で自分の好きなコンテンツを視聴する方法が一般化しました。
   テレビ放送を待つよりも、ストリーミングで直接4Kコンテンツを視聴する方が便利です。
   YouTubeにはすでに4Kコンテンツが豊富にあり、OTT（Over The Top）サービスは4Kを基本で提供しています。

2. 放送インフラの問題
   4K放送はデータ転送量が多いため、既存の放送インフラでは対応が難しいです。
   4K放送を行うためには、衛星、地上波、ケーブルでの帯域幅の拡張が必要です。
   既存の1080p、1080i放送を維持しながら4Kに移行するには、コスト負担が大きいです。
   ストリーミングはインターネットベースであるため、4Kの普及に有利です。

3. 制作および機材のコスト
   4K放送制作の機材や編集システムは、まだ高価で複雑です。
   放送局は制作コストの問題で4Kコンテンツ制作に消極的です。
   一方、YouTubeでは4K撮影機材が普及しており、個人クリエイターでも簡単に4Kコンテンツを制作できます。

4. 視聴者の需要不足
   多くの視聴者は4Kと1080pの違いを大きく感じていません。
   テレビの大きさや視聴距離によって、4Kの利点が実感できない場合が多いです。
   1080pでも十分に鮮明だという認識があり、放送局が4Kに移行する動機が不足しています。

5. 技術の標準化と規制
   4K放送の標準化は進んでいますが、国ごとに導入速度が異なります。
   日本のような国ではNHKが8K放送の準備をしていますが、ほとんどの国ではまだ1080pが主流です。
   4K放送の機材や規格の標準化作業が遅れている状況です。

結論
YouTube、Netflixなどのストリーミングサービスでの4K普及が進む中で、
放送局は4Kに移行する必要性をあまり感じていないのが現実です。
ただし、スポーツ中継やドラマなどで4K放送が増えており、
**5Gおよび次世代放送技術（ATSC 3.0など）**が普及すれば、4K放送も活性化する可能性が高いです。