グーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタのような大企業(特にクラウドサービスやデータセンターを運営する企業)は、ウェスタンデジタル(WD)、シーゲイト、東芝と直接供給契約を結びます。これにより、大量購入でコストを削減し、カスタム仕様を要求することもあります。
1. 大企業がHDDを直接供給される理由
1. コスト削減(規模の経済)
- 大企業は数十万~数百万台のHDDを一度に購入します。
- 流通業者を介さず、メーカー(WD、シーゲイトなど)と直接契約することで単価を下げることができます。
- 通常、流通業者を通すよりも20~30%以上のコスト削減が可能です。
2. カスタム仕様(Customization)
- グーグルやAWS(アマゾンウェブサービス)などは、標準製品ではなく、特定のデータセンター環境に合わせたHDDを注文します。
- 例: グーグルは低発熱、低消費電力、高耐久性に合わせたカスタムHDDを発注・製作します。
- これにより、長期的な運用コストを削減し、エネルギー効率を向上させます。
3. 安定したサプライチェーンの確保
- 大量の需要が必要な企業は、HDDの供給網を安定的に維持するために長期契約を結ぶことが多いです。
- 例えば、WDとグーグルは数年にわたる供給契約を締結し、特定の数量を保証します。
- これにより、供給網の問題や部品不足のリスクに備えます。
2. 実際の事例
グーグルとシーゲイトのHAMR技術HDD契約
- グーグルは、シーゲイトのHAMR(Heat-Assisted Magnetic Recording)技術を採用した30TB以上のHDDを大量に先行購入する契約を締結しました。
- シーゲイトはこの技術をグーグルのデータセンターに合わせて調整して供給します。
AWSとWDの協力
- AWSはWDのUltrastarシリーズ(企業向けHDD)を使用していますが、データセンター向けにカスタム設計されています。
- 標準のUltrastarよりも耐久性が高く、特定環境に最適化されたファームウェアが搭載されています。
3. データセンター専用HDD(エンタープライズHDD)
- WDやシーゲイトは一般消費者向けHDDとは別に、エンタープライズ向けHDDラインナップを展開しています。
- 例:
- WD Gold – データセンターおよび企業向けの高性能HDD
- Seagate Exos – 企業およびクラウドサービス向けHDD
- 大企業はこれらの高性能ラインを大量注文するか、特注バージョンを依頼します。
4. 流通網との違い
- 一般消費者向けのWD Blue、Red、Blackなどは主に流通業者を通じて供給されます。
- 一方、データセンター向けHDDはメーカーと直接契約した企業にのみ供給されるか、一部の企業向け再販業者(例: Dell、HPE)を通じて販売されます。
結論
グーグル、アマゾン、マイクロソフトのような大企業は、HDDメーカーと直接契約することでコストを削減し、カスタム製品を供給してもらうことでデータセンターの効率的な運営を実現しています。
流通網を介さないことで価格競争力を高める重要な戦略となっています。
コメント
コメントを投稿